今回は
どうやったらむし歯の予防が出来るの?
家で出来る方法ある?
といった質問に答えたいと思います.
家庭で行うむし歯対策です!
特にお子様がいるご両親に読んで頂けると嬉しいです!
やや専門的な言葉が多いので,具体的な方法を知りたい方は,
目次から飛んでもらえればと思います.
記事の最後には,
むし歯予防に関する論文の内容も簡単に書いていますので,
興味のある方は御覧ください.
むし歯について
むし歯とは
dental caries(デンタルカリエス,略してカリエス)や
齲蝕(うしょく)と言われます.
記号は「C」です.
むし歯の歯そのもののことを
齲歯(うし)とも言います.
むし歯の発生メカニズム
むし歯は一日では出来ません.
お口の中は通常pH7.0付近で中性に保たれています.
pH(ペーハー):酸性〜中性〜アルカリ性を示す数値.7.0が中性で,それより低いと酸性,高いとアルカリ性.
食事を取ると,
むし歯菌が産生する酸によってpHが低下し,
歯が溶かされ始めます(脱灰)
この歯が溶け始めるpHを臨界pHと呼びます.
しばらくすると,だ液による緩衝(かんしょう)作用によりpHが中性に戻ってきます.
またこの時に,だ液の中に含まれるカルシウム等で
溶けた歯が修復されます(再石灰化)😁
つまり,通常の食事では
となり,臨界pHより下がっても,しばらくすると元に戻って歯が修復されています.
けれども,頻繁に食事やおやつを食べていると,
となり,
臨界pHより低い状態が続いたり,
溶ける頻度が高くなるのでむし歯が出来やすくなるのです.
なので,出来るだけ臨界pHより下がる頻度を減らすことがむし歯予防には重要です.
むし歯の予防方法
では具体的な予防方法です.
フッ素入りの歯磨き粉の使用&うがいを軽めに
実はむし歯の予防に効果があると立証されているのは
フッ素(フッ化ナトリウム)だけになります.
フッ化ナトリウムは安全ですが,その他のフッ素化合物は危険なモノもありますので,注意して下さい
現在日本で販売されてる歯磨き粉の90%にはフッ素が入っているので
適当に選んでもほぼ大丈夫です.(一応,確認はして下さい)
ppmと書いてあるのが,フッ素の濃度です.2017年に上限が1000ppmから1500ppmへupしました!
歯磨き粉にフッ素が入っていなければ,
歯磨きをいくらしても,むし歯予防の効果は低いとされています.
かといって,歯磨きしなくても良いわけではないですよ.
歯みがきのむし歯予防の効果が低いのは,歯ブラシが届かないところがむし歯になりやすいからです!
歯の表面の汚れを落として,そこにフッ素が取り込まれるようにしましょう!
注意してほしいのは,
フッ化ナトリウムは水に溶けやすいので,
使用後にしっかりうがいをすると,全部流れていってしまいます.
かかりつけの歯科医院でもフッ素を塗った後は
フッ素塗布をした30分〜1時間は食事しないで下さいね.
って言われているのは,そのためです.
歯磨きをした後も同様で,うがいは軽く1回だけにしましょう!
また,発泡剤がたくさん入っていると泡立ちが良くて,歯磨きした気になりますが
うがいをたくさんしないと気持ち悪いので,発泡剤が少ない方が良いかもしれません.
歯磨きの後に,フッ素ジェル
上の記事でも書きましたが,
むし歯予防に効果があるのはフッ素です.
どうしても歯みがきの後はしっかりうがいしたい!!
という人もいると思います.
そんな方は,
フッ素ジェルを使用しましょう!
- 歯磨きをして
- しっかりうがいして
- ジェルを塗って終了(うがいはしない)
私達が使用しているフッ素はこちら
歯科医院で大人の人が塗布されるフッ素の濃度は約9000ppmです.
頻繁に塗布することはできません.
フロスの使用
歯磨きの際に,歯ブラシを使用されている人は多いと思います.
口腔内を管理する道具としては,その他に
- 歯間ブラシ
- フロス
- 舌ブラシ
などがあります.
むし歯になりやすいのは歯と歯の間が多いです.
(※年齢や食事するもので異なります)
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは取れないので,
一日に一度はフロスを使用した方が良いです.
丁寧に歯磨きをした後でも,フロスをすると意外にたくさんとれることも多いです.
お口の中もスッキリしますし,口臭対策にもフロスを使いましょう!
色々種類がありますが,使うのが簡単なのは柄が付いているものです.
コスパを考えると,糸だけのほうが安いです.
食事はまとめて(ダラダラ食べない)
上のむし歯発生のメカニズムでも説明しましたが,
通常,むし歯は一日ではできません.
けれども,ダラダラと食事をしていると
口腔内の状態が,臨海pHより下がる頻度が増えるので
むし歯ができやすくなります.
むし歯になりやすい食べ物として代表的なものは
- チョコレート
- キャラメル
- ジュース
- ガム
- 飴
といった
砂糖を含んで居て,歯にくっつきやすく,お口の中に残りやすいもので,酸性になりやすいもの
が挙げられます.
逆にむし歯になりにくい食べ物としては
- さつまいも
- ほうれん草
- 小魚
といった
食物繊維が豊富で,砂糖を含んでおらず,口に残りにくいものです.
ハチミツは甘いですが,むし歯にはなりにくい食べ物です.
寝る前に丁寧な歯磨きを
寝る前はしっかり歯磨きをして寝ましょう!
注意して欲しいのは,
歯みがきをした後は,何も食べずに寝ること!です.
晩ごはん食べた後に歯磨きしたから,その後に少しジュース飲んでも,うがいすれば大丈夫でしょ?
と言われた患者さんがいましたが,
全然大丈夫じゃないです!!!
ジュースを飲むと口の中は酸性になります.
そして,寝ている間はだ液(唾:つば)の量がとても減ります.
なので,なかなか緩衝作用が起こりません.
そうすると,むし歯のリスクが非常に高くなります!
夜寝る前の歯磨きが一番大切です!
お子さんにはしっかり仕上げ磨きをしてあげましょう!
よく咬んで食べる
またまた,だ液が関与しますが,
よく咬んで食べることにより,だ液の量が増えます!
だ液はとても大切な役割を持っていて
シェーグレン症候群という,だ液が出なくなる病気の方は
むし歯や歯周病のリスクが非常に高くなることが分かっています.
またよく咬んで食べることで歯に付いている汚れも一緒にとれてくれます.
しっかり咬むことは歯並びにも関係します.
満腹中枢も刺激されますし,消化にも良いですし,よく咬むことにはメリットが多いのです!
まとめ
以上を簡単にまとめると
- 食事はダラダラ食べない
- 寝る前にフッ素入りの歯磨き粉を使用して,丁寧に磨く
- うがいをしっかりしたい人は,フッ素ジェルを使用する
参考になりましたでしょうか?
上に述べたことを実践して頂くと,
完全ではないでしょうがかなり効果があると思います.
皆さんのむし歯が減ってくれればと願っています.
ちなみに,年を取るにつれてむし歯は出来にくくなります.
生えたばかりの歯が一番むし歯になりやすいので,注意しましょう‼️
もちろん,むし歯になりにくくなっても,ならないわけではありませんし,
歯周病にはなりますので歯磨きはしっかりして下さい.
むし歯予防の参考論文
1995年に報告されたむし歯予防の論文(英語)です.
簡単にまとめると
- フッ化物を含む歯磨き粉の使用
- 飲料水へのフッ化物添加
- むし歯リスクが高い人への低濃度のフッ化物のサプリメントや飲料水の使用
- むし歯リスクが高い人への歯科医院でのフッ素塗布やマウスリンスの使用
- 永久歯へのシーラント
- むし歯リスクが低い人への歯科医院でのフッ素塗布やマウスリンスの使用
- フッ素が入っていない歯磨き粉を使用した歯磨き
- フロスの使用
- フッ素塗布前の歯科医院でのクリーニング
- 訪問歯科
- 食事カウンセリング
と書かれています.
古い論文なので,現在も完全に当てはまるかは不明です.
しかし,未だにこの論文を大きく否定している論文もないので
正しい点も多いのではないかと思います.
この記事が参考になりましたら,周囲の人に紹介してもらえると嬉しいです.
それでは,次回もお楽しみに〜
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