大学病院の歯科と開業医歯科医院の違いって何?

開業医, 大学病院

これもよく聞かれるのですが,

歯科医院っていっぱいあるけど,大学病院と一般歯科医院って何が違うの?

大学病院の方が大きいから,そっちの方が良いの?

それぞれ違う特色があります.

ということで,

今回は私たちが実際に働いている

一般開業医の歯科

大学病院の歯科

の違いについて書いていきます.

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目次

役割が異なる一般歯科医院と大学病院

前提として

一般歯科医院 = 一次医療機関

大学病院,病院歯科 = 二次・三次医療機関です.

なので,そもそもの考え方が異なります.

一般歯科医院の役割

一般歯科は上記で記載した通り一次医療機関です.

一次医療機関はいわゆるかかりつけ医です.緊急性を要さない治療などを提供する診療所のことです.

一番の役割はやはり

地域医療への貢献だと思います.

患者さん皆さんが,気軽に受診できるような環境を作ることが必要だと思っています.

大学病院の役割

大学病院や病院歯科は基本的には二次あるいは三次医療機関になります.

二次・三次医療機関は入院が必要であったり,一次医療機関での対応が困難な場合に受診する医療機関のことです.

基本的に大学病院の理念は3つ.

  • 高度で良質,安全な医療を患者さんに提供する
  • 医療を通して,地域社会に貢献する
  • 将来を担う優秀な医療人の育成する

になります.

なので,以前も書きましたが,

診療・教育・研究がメインテーマです.

どれも大学病院には欠かせないテーマであり,バランスが求められます.

教育の場でもあるので,

試験に合格した学生研修医の先生指導医が一緒に診察することもあります.

一般歯科医院の特徴

大学病院勤務

今まで3つの歯科医院で勤務してきた私が感じたことを書いていきます.

一般歯科医院が優れている点
  • 気軽に受診できる
  • 最先端の機材・材料を早く導入できる
  • 患者さん個人に合わせたオーダーメイド治療が容易に行える
一般歯科医院の弱点
  • 入院施設がない
  • チーム医療がやや苦手
  • 専門的な治療が行えない場合がある

1.気軽に受診できる

やはり街の開業医は気軽に受診できるのが一番のメリットでもあり,特徴です.

今や歯科はコンビニよりも多いと言われていますが

実際に多いです...

2019年の開業歯科医院の数は約68,500件.

厚生労働省 医療施設調査より

コンビニ件数は約56,000件なので,確かに歯科医院のほうが多いです.

それでも,その歯科医院の特徴がありますし,

流行っている歯科医院とそうでもない歯科医院に分かれているような印象を受けます.

2.最先端の機材・材料を早く導入できる

意外かもしれませんが

最先端の機材や材料は開業医のほうが早く導入できます!

というのも,

開業医では基本的に院長に決定権があるので決断が早いです.

お金の使い方もある意味院長の自由です.

なので,

院長

○○を購入する!

と言えば,導入されます.

3.患者さん個人に合わせたオーダーメイド治療が容易に行える

これも開業医ならではの特徴です.

上の最先端の機材・材料を揃えれることもあり,

基本的にその場合は私費治療になりますが

患者さん個人に合わせた自由な治療方法を提供することが可能です.

もちろん,歯科医師法や医療法に則った範囲内でです.

まれに悪質な歯科医院もありますので,ご注意下さい!

4.入院施設がない

一方,これだけ開業施設が多いですが,

入院環境が整っている歯科医院の数は

20施設のみです.

20/68,500=約0.3%.

入院施設がある開業歯科医院はほぼ無いといって良いと思います.

5.チーム医療がやや苦手

これは最近は改善されてきている気もしますが,

それでも大学病院と比較すると

チーム医療が苦手な歯科医院は多いと思います.

チーム医療とは,一人の患者さんに対して,複数の医療専門職が協力して,治療等に当たることです.

昔に比較すると最近の歯科医院では

他の専門的な治療を行っている歯科医院や

医科の先生と連携をとって治療している医院も増えてきていると思いますが,

まだ弱いと感じます.

6.専門的な治療が行えない場合がある

開業歯科医院では専門的な治療を行えない場合もあります.

例えば,

  • 外科治療
  • 特殊な基礎疾患を持っている人への治療

などが挙げられます.

それは,専門的な知識・技術だけでなく

特殊な機器や設備が必要になることが多いという点もあるからです.

大学病院の特徴

大学病院勤務

私が感じていることを書いていきます.

大学病院が優れている点
  • 高度な医療の提供
  • チーム医療を行うことが出来る
  • 専門的な治療を行うことが可能
大学病院の弱点
  • 専門性が別れる
  • 気軽に受診できない場合が多い
  • 最先端の設備・材料が提供しにくいことがある

1.高度な医療の提供

ここで言う高度な医療とは

まだ世間では一般化していない治療法(いわゆる,治験)であったり,

特殊な環境下での治療を言います.

決して,最新の機器や材料を用いた治療のことではありません.

また,今後の医療の発展のための研究を含む場合もあります.

その場合は説明があると思いますので,心配しなくて大丈夫です!

2.チーム医療を行うことが出来る

大学病院の強みはチーム医療が行いやすいという点です.

様々な専門の医療従事者が在籍しているので,

多方面からの治療が可能です.

ただ,その分複雑な治療であったり,打ち合わせや考慮しなければならない点が増えてきます.

3.専門的な治療を行うことが可能

また,大学病院や病院歯科では専門的な治療を行うことも可能です.

特に外科治療は入院施設や特殊な機器が無いと難しい治療も多くありますし,

障害や基礎疾患を有する患者さんも周りのスタッフと協力しながら治療を行うことが可能です.

主にこのような患者さんが開業歯科医院から紹介されることが多いように思います.

4.専門性が別れる

専門的な治療を行うことが可能である一方で,多くの大学病院は診療科が分かれています.

極端な話だと

むし歯や根の治療は保存科.

それが終わって被せの治療を行うのは補綴科.

保存が不可能な歯は口腔外科.

といったように,一つ一つの専門が異なるので,その度に違う科を受診する必要があります.

そのため,治療に時間がかかることが多いです.

5.気軽に受診できない場合が多い

また,大学病院は気軽に受診できない場合も多いです.

というのも,大学病院等は二次医療・もしくは三次医療施設なので,

基本的に一次医療で対応できない患者の受け入れ病院だからです.

なので,初めて大学病院等の医療機関を受診する場合は

開業歯科医院からの紹介状が必要になります.

特に初診で大学病院等を受診した場合は

朝イチで受診してもお昼過ぎに診察

ということも珍しくありません.

6.最先端の設備・材料が提供しにくいことがある

大きな施設だと,新しい治療を提供するにあたっては

予算が下りるまでにいくつもの審査が必要になってきます.

また,材料にいたっては,安全性の有無や価格設定をどうするかなどもありますので,

審査が通るまで非常に時間がかかります.

なので,最先端の機器や材料が認可されるのには時間がかかり,場合によっては認可されないこともありえます.

大きな施設だと仕方のないことかなとは思います.

まとめ

中々わかりにくかったかもしれませんが,

一般開業歯科医院は一次医療機関(入院施設なし)であり,通常の一般歯科治療を提供します.

大学病院などの病院歯科は二次・三次医療機関(入院施設あり)であり,

一般歯科治療も行う場合もありますが,もう少し特殊性が高く,基本的には開業医からの紹介で受診する.

ということになります.

歯科の場合,そのあたりの境界があやふやな場合も多く認めていますが,

個人的には

1.かかりつけ医を見つけて,

2.定期的にそこを受診して

3.なにか問題がある時に大学病院等を紹介してもらう

というのが一番良いと思います.

なので,先ずはかかりつけ医を見つけましょう!

探し方はコチラを参考に.

最後まで読んでいただきありがとうございました.

ではでは,次回もお楽しみに!

開業医, 大学病院

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